|
相手方を呼び出して,事情を聴いた上で判断するということになると思いますが,その時点で解決できてしまう問題はものすごく多いと思いますね。
鈴木 個人情報保護法の議論の中で,第三者機関をつくるべきだという主張がありましたけれども,それに対して先生はどういうお考えをお持ちですか。
夏井 第三者機関といっても,その内容が問題です。機能しなければ意味がない。だから,本来的には,国家権力の機関として第四の独立した機関をつくるべきだと思います。
日本の憲法システムは,運用面から見ると二権分立システムに見えますね。議院内閣制をとっている関係で,行政権と立法権は近い関係にあります。非常に長
期的な展望にたっての意見なのですが,内閣と国会とは完全に分離して,内閣が法案を提出することを禁止するところまでいかないといけないと思いますね。
そ の上で,情報を新しい時代の一つの権力と捉えて,どこからも影響を受けない,裁判所からも影響を受けない独立機関としてつくって受け持たせるべきだろうと
思います。理想的にはこれからの憲法は,四権分立システムであるべきですね。国の情報の統制に関する問題は,憲法的視野をもって,より柔軟に制度設計す
る,そうした中で現実の解を求めていくべきで,当初から近視眼的にアプローチしているようではだめですね。
行政改革の流れに逆行するからというような理由などで主務大臣が監督するのが現実的なのだという制度設計の仕方は,いろいろな意味で問題があると思います。 |
|
鈴木 具体的にはどのような弊害があるでしょうか。
夏井 まず,誰が監督するのかよくわからないし,全く同じ出来事なのに,場合によっては総務省のほうが関与してみたり,全く同じものを別の側面では経済産業省が 関与してみたり,文部科学省が関与してみたりというようなことが度々起こるだろうと思いますし,一体誰のどのような監督をするのかがよくわからないような 状況がすぐに出てくると思いますよ。
しかも,監督権限が一元化されてないために,逆にいろいろなところから圧力や誘惑を受けやすいだろうと思います。
さらに言えば,監督権限があちこちに分散しているために,もし何かまずいことがあっても見えにくくなっているだろうと思います。監督権限をプライバ
シー・コミッショナーみたいなところに集中していた方がその仕事のプロセスがはっきりしている分だけ国民からは見えやすいと思いますね。あちこちに分散し
ていると,たぶん問題の発生原因を突き止めるのが大変だと思います。
鈴木
今回の法律は,個人情報をどう取扱うべきか,ということに関して,個人情報に関しては「本人の関与」とありますよね。だから,「個人情報は誰のものか」と
いうことに関しては,はっきりとしたことを言わずに,とりあえず個人に関する情報であれば,本人はある程度何らかの形で関与していいだろうと。 |